安武わたる作の短編漫画集「中国誘拐村~世界の因習~」の三話目に収録されている「常盤御前」のあらすじや感想をご案内します。
歴史的に有名な源義朝の側室で、美貌で知られる常盤御前の実在人物伝であり、時代に翻弄された哀しい女の姿が描かれています。
「中国誘拐村~世界の因習~常盤御前」のネタバレ
夫が戦に破れ清盛の手に落ちる常盤御前
時は戦国時代。絶世の美女、と名高い常盤御前は、3人の子供を連れて落ち延びようとしていた。
夫である源義朝が平氏に敗れ、都落ちしたものの、とうとう清盛に捕らえられてしまう。
「さすがは千人の美女から選ばれた女。
三児の母でありながら、乙女のようだの」
清盛は常盤の楚々とした美しさをたたえ、母と子供らの命乞いをする彼女を自らの側室とした。
いつか夫の仇を討つ
常盤を支えていたのは、家族の安全と「いつか夫の仇を討つ」という思いであった。
「あなたのお命が尽きるときに、大声で笑って差し上げます」
家族を人質にとったのをいいことに、傍若無人にふるまう清盛に対しての精一杯の虚勢。
だがある日、夫の配下だったという男が現れて「いつか必ずお救いし、亡き殿のご遺志を果たす所存」と告げにきた。
今の自分の立場を利用すれば、清盛の寝首をかくことも可能・・・
清盛の意外なやさしさ
思い悩む常磐は、ある夜熱をだしてしまった。
清盛は彼女を心配して、一晩中看病してくれたのだという。
武骨な男ではあったが、情け知らずではない。
清盛のいい面を見て、常磐は以前のように彼を憎みきれなくなってしまった。
結末・他の男に嫁がされてしまう常磐
少しずつであったが、清盛に惹かれるものを感じつつあった常磐は彼の子を宿す。
しかし、清盛の妻が、常磐を平家の親族である一条長成に常磐を嫁がせることを決めてしまった。
醜聞を恐れた清盛もまた、常磐を手元に置いてはおけなくなる。
常磐は、青ざめながらもにっこりと笑って清盛に別れを告げ、自分の本心を決して見せようとはしなかった。
感想
戦国時代の武将の妻は、運命に翻弄されるという言葉がそのまま当てはまります。
夫が戦に負ければ、後を追うか勝者の下で惨めに命乞いをして生きるしかない。
常盤御前は戦の理不尽で、つぎつぎに夫を変えさせられてしまいました。
彼女の子供のひとりである、牛若丸(源義経)が成長して兄の頼朝と一緒に挙兵して、平家滅亡の流れをつくることになります。
考えてみれば、清盛が常盤御前の美しさに情けをかけてしまったことが、平家一門の滅亡につながってしまったのかもしれませんね。
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